紀州犬の祖先、マン

紀州犬の祖先、マン

[カテゴリ] その他
[更新日] 2025/4/7
こんにちは、三重県伝統工芸品、市木木綿織元の向井浩高です。

先日、熊野庁舎に用事があって出かけました。
そこで可愛いワンちゃんに出会いました。
紀州犬の祖先マン 三重県熊野市向井ふとん店

それは、紀州犬の祖先と言われているマンのぬいぐるみです。
紀州犬 三重県熊野市向井ふとん店
(紀州犬​​

どうしてマンが紀州犬の祖先と言われているかというと、

(御浜町 弥九郎物語より)

昔、紀州の山奥に弥九郎という名の猟師が母親と二人で暮していた。ある春の朝、弥九郎が家の戸を開けると、そこには一匹の子犬がいた。

あれは昨年の秋のことだった。弥九郎が夜中に山を歩いていると、深手を負ったオオカミに出くわしのだ。弥九郎はこのオオカミに傷の手当をして、「もしこれで助かったなら、今度の春生まれた子を一匹くれろ。」と笑いながら言った。オオカミはこの約束を果たしたのだ。

弥九郎はこの子犬をマンと名付け、厳しく狩の技を仕込んだ。その甲斐があってか、マンは並みの猟犬をはるかにしのぐ優秀な猟犬に成長した。

次の年の初夏のこと。弥九郎は狩の途中、熊の気配を察知して岩陰に隠れていた。ところが、マンはかまわず飛出し大熊の後ろ足に噛みつく。弥九郎はすかさず槍で大熊にとどめを刺した。何と、マンは一撃で大熊の後ろ足の筋を噛み切っていたのだ。このことがあってから、弥九郎とマンの名は紀州一帯に知れ渡った。

その年の冬、殿様にご覧にいれる大掛かりな狩が催された。マンはこの場でも見事に猪を仕留め、弥九郎は殿様からたくさん褒美をもらった。弥九郎は意気揚々と家に帰った。

ところがどうだろう。弥九郎のおっかさんはマンを山に帰せと言うのだ。「人間に飼われたオオカミは、千匹生き物を殺すと、次にはその主人を食い殺す。」弥九郎が家を出掛ける時、読経を頼んだ旅の坊さんが、マンの素性を見抜きこんな恐ろしいことを言ったのだ。そんな話は弥九郎には到底受け入れられない。弥九郎は言う。「マンは俺の犬。マンあっての弥九郎なんや!!」

外にいたマンは人間の言葉を理解したのだろうか。「ウォーン」と一声鳴くと、山の方へと走り去って行く。「マン、帰ってくれー!!」弥九郎は雪の降る中、裸足で家を飛び出しマンの後を追う。マンは振り返り、一度弥九郎の方を見ると、悲しそうにまた山の方へ歩き出した。それ以降、マンが弥九郎のもとに帰ることは二度となかった。

優秀な猟犬として知られる紀州犬は、このお話のマンが祖先だと伝えられている。

このお話しは、テレビアニメの日本昔話にも」「弥九郎の犬」として放送されました。


首に市木木綿を巻いていて、頭には蜜柑が乗せてあり御浜町の特産品を身に着けています。
あまりにも可愛らしかったのでご紹介させていただきましたが、最後にマンが弥九郎を気遣って山に帰ってしまうところが、泣かせます。

哀愁があっていいお話なのでたくさんの方に知っていたければいいなと思います。



 

ブログカテゴリー
ベット(60)
オーダー枕(17)
市木木綿(138)
手作り布団(24)
快眠(39)
本の紹介(10)
その他(62)